らんたふぁん

気鋭のエッセイストらんた(id:lantan2015 )氏の文章を題材に、小説について考える。

「最新のオリコン売上ランキングを見てみた」から見える異変


1.小説 ブルーロック 戦いの前、僕らは。 二子・國神・氷織
2.転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す 9
3.ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクルepisodeリュー 2
4.薬屋のひとりごと 14
5.異世界はスマートフォンとともに。29
6.ロクでなし魔術講師と禁忌教典23
7.魔術探偵・時崎狂三の事件簿
8.信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します! 8
9.誰が勇者を殺したか
10.茉莉花官吏伝 十五 珀玉来たりて相照らす

まあ前回のランキングよりは「最新作」出ましたよね。
でもさ、本当にラノベって週のトップって一瞬で陥落するんだね。本当に厳しい世界だね。
これ、大半が打ち切りか超ロング刊行のどちらかじゃねえか。

で。これから非常に重要な事言うけどやっぱり2015年以降に刊行されたラノベ本は累計1000万部突破した作品は現れないってやっぱ分かるね。この週のランキングで見ると。定点観測ってこの辺にしておくし、『若者のライトノベル離れ』にも書き込まないけどやっぱり2016年以降、ラノベ業界に猛烈な逆風が吹いてる事は間違いないんだ。

本題の方は、またしてもオリコンラノベ週刊ランキング(今回は最新のもの)の結果を確認することで、前回の「君はオリコンラノベ売上ランキングって見たことあるか?」の内容を補強するだけのもので、特に変わったところはない。

らんた(id:lantan2015 )氏は、完全な新作がランクインしていることで、前回の「新しいラノベタイトルが無いんだ。」「第一巻目の発売日が2012年とかの作品がだよ?いまだに2023年になっても上位なんだ。つまりね新しい読者層がほぼ誰も入ってないって意味なんだ。」「2020年代に第一巻として発売された作品ってある?もうこの時点でアウトっすよね。」という主張の正当性が損なわれることを心配しているようだが、気にするほどのことではないだろう。例外は何にでもある。

(突然挿入される再販制度と返本率の話もいま一つ要領を得ないが、これはらんた氏の持ちネタのようなものなので、やはり気にする必要はない)

ところで本って再販制度で「全数把握」だ。つまり本って全国どこでも同じ値段なのね。返本率ってどのくらいだと思う?

そうだよここ約25年40%前後なんだよ。つまり2019年でずっと出版市場が下がり続けてきた上に本を返品する率が例年約40%なんだ。約4割の本は取次の倉庫に戻ってしまうんだ。そして紙を溶かされて古紙にされてしまう。これが電子だったらありえないんだけどね。だから漫画業界が電子に殺到する理由がわかるね。ダウンロード=即売れたって意味で返本・古紙化のリスクもないんで。


それよりも気になるのはこの部分である。

まあ、この販売動向を見る限り高確率でラノベ市場は2016年の第二ピーク時の半減、つまり300億円市場から150億円市場ほどになってると思う。とんでもないキラータイトルが出ない限り。残念だけど。

お分かりだろうか。

そう、らんた氏が「高確率で」「と思う」といった曖昧な及び腰の表現を使っているのである。

らんた氏といえば、限定されたデータを鋭い知性で分析し、未来を断言する論法こそが特徴だったはずだ。現につい先日もこのように書いていた。

なんと今年の紙媒体市場は1兆1000億円割れが確実となりました。という事は残念なんですが2024年に紙媒体市場は2024年、つまり実質来年だよね。1兆を割り込む市場になります。

「確実となりました」「になります」この、胸のすくようなシンプルな言い切り方。これこそが本来のらんた節というべきだろう。

いったいらんた氏にどのような心境の変化があったのか。当ブログではこれからもらんた氏の動向をつぶさに追っていきたい。